「なんでできないの?」の正体は、脳の”知識の呪い”だった

いつもありがとうございます。恒松伴典です。

これまで「目に見えない本質(根っこ)」を見ることについて
お話ししてきました。

今回は、人と人との間にある
“見えない本質”、つまり「相手の背景」についてです。

突然ですが、こんな経験ありませんか?

「え、なんでこれができないの?」
「普通わかるよね…?」

ありますよね!ありますよね(笑)
私もめちゃくちゃあります。

《ひとつの面白い実験》

1990年、アメリカのスタンフォード大学で、
ちょっと面白い実験が行われました。

・Aさんは、誰もが知っている曲(ハッピーバースデーなど)を頭の中で流しながら、指で机をトントン叩いてリズムだけを伝える。
・Bさんは、そのリズムを聞いて曲名を当てる。

叩く側のAさんは
「半分くらいは当ててくれるだろう」と予想しました。

ところが結果は…
120曲中、正解はたったの3曲。
わずか2.5%です。

なぜこんなズレが起きたのか?

叩いている本人の頭の中では、
メロディーがずっと鳴っているからです。
でも聞いている側には
「トントン」という音しか聞こえていないんですね。

これを心理学では
「知識の呪い」と言います。

一度知ってしまうと、知らなかった頃の自分を思い出せなくなる
脳の性質です。

《努力してきた人ほど、ハマりやすい》

1on1をしていて「あるある」だなと感じることがあります。

努力して能力を高めてきた人ほど、
「自分ができる=相手もできる」
と無意識に思ってしまうんです。

だから「なんでできないんだ」とストレスを感じる。

でも、その人にも、
できなかった時代は必ずあったはず。
脳はそこを、すっかり忘れてしまっているんですね。

正直に言うと、
私自身もこれでストレスを感じていた一人です…。

《感情は”一瞬”で動く》

出来事が起きると、脳は一瞬で「解釈」をします。
しかもその解釈には、
自分の価値観や過去の経験が無意識に使われています。

出来事 → 一瞬の解釈 → 感情 → さらに解釈が強まる → …

このループが続くと、
捉え方がどんどん偏っていきます。

脳の中では、感情に関わる扁桃体の方が、
冷静に考える前頭前野よりも先に反応します。
だから「気づいたらイラッとしていた」が起きるわけです。

ここで大切にしたいのは、
その捉え方を「良い・悪い」でジャッジしないこと。
その人の中では、それが正解だったんです。

《ループを止める「背景をひとつ挟む」》

では、どうすればいいのか?

私が研修で学び、実践しているのが
「背景をひとつ挟む」ことです。

「なぜ、この人はそう思ったんだろう?」
「できない背景に、何が起きているんだろう?」

自分の基準で「できる・できない」を測るのではなく、
相手がそう言っている背景、その事実だけを見る。

すると解釈と感情が変わり、
自然と相手の視点に立てるようになります。

《明日からできる、ひと手間》

コツはシンプルです。

人は相手の話を聞きながら、
「自分ならこうするな」
「次は何を言おうかな」
と、つい頭の中で考えてしまいます。

それが浮かんできたら、
一旦、横に置く。

そして
「この人は今、何を考えているんだろう?」
と、相手に“興味”を持って聴く。

これだけで、一緒に
「じゃあ、どうしようか」と考えられるようになりました。
自分も相手も、前に進みやすくなったんです。

《背景は、自分にも向けられる》

最後にもうひとつ。
この「背景を挟む」は、自分自身にも使えます。

「なんで自分は、今こう感じたんだろう?」

すぐには分からなくても大丈夫。
時間をかけて見つめていくと、
自分の考え方や視点が少しずつ広がっていきます。

これがいわゆる「メタ認知」、
自分をもう一段上から眺める力です。

あなたが最近「なんでできないの?」と感じたのは、
どんな場面でしたか?

その人の“背景”、ちょっと想像してみてくださいね!

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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